負け組アーキテクトの憂鬱

メモしておきたいことや読書の記録を淡々と書く。

[読書]英会話ヒトリゴト学習法5

英会話ヒトリゴト学習法英会話ヒトリゴト学習法
著者:酒井 穣
販売元:PHP研究所
発売日:2008-10-17
おすすめ度:4.5
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具体的な英会話学習ノウハウ(題名のとおりヒトリゴト学習法)はもちろん、英会話を学ぶ動機付けへの言及に心を動かされる。

今まで外国語は(特に世界の普遍語である英語は)、情報の入力量を絶対的に多くするための手段以上のものではないと考えていた。まさに必要に迫られて習得するものだと考えていたのだが、本書を読んで考えは一変した。

思考は言語に非常に深く結びついており、実際それぞれの言語を使っているときに活性化されている脳の部位は違うのだそうだ。日本語を使っているときと英語を使っているときで、性格が違うと実感する人も多いらしい。つまり、言語を習得することは内なる別人格=アルターエゴの作り出す事だと言う。同じ問題について考えるとき、日本語の思考と英語の思考で違った解答が出る場合がある。そのためよりいっそう考えを深める事ができる。自らの意識の中で、日本語人格と英語人格が議論をしていると言って良い。

物事に対して、多角的に、多様な視点で全体を捉える事が大事であるとすれば、アルターエゴの存在は非常に強みを発揮する事が出来るだろう。情報の入力量を増やすだけではなく、入力した情報を育てる上でもとても重要な意味を持っていることがわかる。

言語を習得する度ににアルターエゴを立ち上げる事ができるのであれば、世界がこれだけ多くの多言語で分断されてしまっていることは不幸な事ではなく、むしろより多くのアルターエゴの存在を予感させる、喜ぶべき事なのかもしれない。

「バベルの塔を建てた奴、ちょっと来い」と嘆く前に、是非読んでおきたい一冊だ。

[読書]脳の饗宴3

脳の饗宴脳の饗宴
著者:茂木 健一郎
販売元:青土社
発売日:2009-08-24
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著者の研究内容の紹介と、著者の対談集のまとめといった構成だ。

意識やクオリアの問題と今後の見通しに付いては他の著書にも詳しいが、対談という形式で、その考え方が評価されていく過程がスリリングだ。正直難解な内容ではあるが、科学者が難解な内容を熱っぽく語り合う、素人にはサッパリな議論の中にこそ真理が渦巻いていると言う例えを思い出した。

特に意識とクオリアの解法についての議論には熱が籠もっている。著者とはまた違った視点を持った二者との価値観のぶつかり合いだ。内容もさることながら、これほどの熱意をぶつけ合う仲間がいることを羨ましくも思う。

[読書]行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論5

行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論
著者:舞田 竜宣
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2008-12-17
おすすめ度:4.0
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架空の会社の架空の物語のもと、よくありがちな問題それぞれの章に対応させて、解決してくプロセスと行動分析学の視点での解説を加える構成となっている。ここで登場する数々の物語(数々の問題点)は、架空の話とはいえコンサルタントであった著者の経験に基づく実際の話を基に構成されているらしい。

そのため、かなり具体的な問題ばかり取り上げられており、実際に自分の会社での問題によく似た章もあって、読んでいるだけで辛くなる程だった。

基本的な考え方は、人が何かの行動を起こしたときにその動機や原因ではなく、行動の結果に着目する。行動の結果、良いできごとが起きれば行動は強化される(回数や強度が増える)。この行動を強化させたできごとが「好子」で、反対に「弱化」させるできごとが「嫌子」だ。好子や嫌子は行動の直後のものでなければならない。これはそのまま脳内におけるドーパミン放出の教科学習の仕組みに一致する。行動の直後にドーパミンが放出されれば、その行動は強化されるという、脳科学での事実だ。この仕組みを使えば、任意の行動を強化したり弱化したり、コントロールすることが可能となる。

様々な問題を如何にしてコントロール可能な行動まで因数分解し、それを好子と嫌子を巧みに出現させることでコントロールし、問題を解決するか。行動分析学はそういった学問であると理解した。

人の人格や性格を変えることはできなくても、人の行動は変えることができる。あらゆる問題において、人の行動が関わる問題であれば必ず解決することができる。そんな気にさせてくれる一冊だった。

[読書]人を動かす質問力4

人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171)人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171)
著者:谷原 誠
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2009-07-10
おすすめ度:5.0
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弁護士である著者の質問ノウハウ集

さすが、質問のプロである弁護士がまとめただけあって、実践的な内容だ。著者自身の失敗談からも、如何に質問力が重要であるかが説明される。

相手をその気にさせ、人を育てる。議論を制し、また自分自身をも変える。ビジネス手法や人付き合いまで、一般的な自己啓発書がカバーしているであろう内容の「すべてを」、質問力の切り口で説明し解決しているのが斬新だ。

中でも、ネガティブになりがちな質問をポジティブな言い回しに変える手法や、自らの行いをフィードバックするための7つの質問などは明日からでも実践出来そうな内容だ。質問の仕方一つで相手の回答もある程度コントロールできることもよくわかる。

一方で、質問をされる事が怖くなる一冊でもある。

質問相手が頭の良い人間であるほど、質問の意図を勘ぐってしまい、自分の発想や回答は質問者の意図通りに誘導されたものでしかないのではないかと、疑ってしまうほどだ。

日常の会話が腹の探り合いになってしまってはたまったものではない。質問者側のノウハウも一通り頭に入れた上で、たとえ誘導された回答でも自分が納得の上幸せになるのであれば、いっそそれも受け入れてしまおう。それは相手にとっても同じ事。質問の技術も、悪意を持って使うのではなく、人を幸せにしてナンボという事を肝に銘じておきたい。

[読書]インターネットが死ぬ日3

インターネットが死ぬ日 (ハヤカワ新書juice)インターネットが死ぬ日 (ハヤカワ新書juice)
著者:ジョナサン・ジットレイン
販売元:早川書房
発売日:2009-06-25
おすすめ度:4.0
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パソコン通信ではなくインターネットが、アプライアンス機器ではなくパソコンが普及した理由は「生み出す力」にあるとする。肥沃なインフラと、隣人への信頼、それに加えて問題先送りの原則が生み出す力の源泉であり、同じ理由がインターネットに死を招くとする。不特定多数への信頼が成り立たない規模まで大きくなってしまった宿命とも言えるだろう。

なるほど、清濁混交の中だからこそ創造が生まれると思えば分かりやすいし、少ない経験に照らし合わせても十分に納得のできる話だ。誰かがルールを牛耳るパソコン通信やアプライアンスの世界は、確かにセキュリティに守られた消毒された世界となり得るが、それだけでは破壊的なイノベーションは生まれそうにない。

悪意ある人間はどこにでもいるものだ。悪意が悪戯目的であるうちはかわいいものだが、そこにカネになる臭いが発生してしまうと、とたんに信頼で成り立っていた秩序が成り立たなくなってしまう。

本書では、生み出す力を活かしつつインターネットの死を防ぐには、Wikipedia等のコンテンツ層での成功事例を技術層にも応用することを提言している。これからは教育レベルが未成熟な地域でもパソコンやインターネットの利用は広がっていくだろう。相対的な悪意ある利用者の数も増え続けるのだ。コミュニティの成熟によって悪意の抑制を期待しようというわけだ。

人間社会から悪意が無くなるなんて日は来ないだろう。悪意ある人々も飲み込んでも尚成り立つ社会を実現しうる技術が必要だ。決定的な具体策はまだ見えない。コミュニティの力の利用ももちろんだが、テクノロジーでの解決方法も探らなければいけない。生み出す力を守る手段も、パソコンとインターネットが生み出さなければならない。

[読書]ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか5

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
著者:梅田 望夫
販売元:筑摩書房
発売日:2007-11-06
おすすめ度:4.5
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かつて、コンピュータ専門誌やパソコン通信上で「半年前の自分は別人」という格言があった。

それは知識の量であったりスキルだったり、半年も勉強すれば出来ること分かることが急激に増えて、数ヶ月前の自分ですらあたかも別の人間かのように感じるという、「学習の高速道路理論」を疾走することそのものだった。自分も我武者羅に知識や知恵を吸収しては、半年前の自分は別人であることを実感し、ちょっとした喜びを感じていた時期が確かにあった。

もちろん今でも知的好奇心に正直に生きているつもりだけれども、はて、今から半年前の自分はどうかと言うと、もちろん確実に成長はしている実感はあるけれども、正直別人というほどのモノではないな、ということに気付いた。

自分自身のキャパシティの限界値が近づいているのか、これが疾走の先に待ち受ける大渋滞という奴なのかはわからないが、実際のところかつてのような高速道路上にいるという実感は薄い。

それでもまだ、高く険しい道に食らいつこうとしている。けものみちに降りるにはまだ早いのだ。

本書でウェブ時代をゆくための沢山のヒントを貰ったことだし、もう少し大渋滞であがいてみようかな、と思えた。

[読書]プロフェッショナルの原点4

プロフェッショナルの原点プロフェッショナルの原点
著者:P.F.ドラッカー
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2008-02-16
おすすめ度:4.5
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ビジネスにおける、いわゆる自己啓発書の類であるが、行動、成果、貢献、強み、真摯さなど、まるですり込まれるように数々のキーワードが散りばめられている。

引用文中心の構成だが、とるべき行動、身につけるべき姿勢が的確な短い言葉で表現されていて、どれも考えさせられる内容ばかりだ。原著での引用文と違い、訳書ではドラッカーの著書からの引用に置き換えられていると言う。よりドラッカー本人の言葉に近いのだろう。

本書の使い方の章の最後の言葉より。「成果をあげる能力は習得できる。習得しなければならない。」成果が出ないなどと嘆いてはいけないのだ。

[読書]お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践4

お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)
著者:勝間 和代
販売元:光文社
発売日:2007-11-16
おすすめ度:3.5
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証券口座を開設して、投資信託を始めるきっかけになった一冊。

金融リテラシーの第一歩を身につけるための本だ。金融初心者を対象に分かりやすい内容だが、中でも興味深かったのは、金融を通じた参政について。我々有権者は選挙を通じてしか政治に関わることができないと考えがちだが、目的の金融商品に投資することで積極的に世の中の変化に関わることが出来ると言う。投票した政党のマニフェスト云々も結構だが、環境事業関連ファンドを買ってみる方が確かに貢献している意識も高く持てるかもしれない。

くれぐれも、安直に株やFXは儲かるだとか、投資信託なら安全などと杓子定規に考えてはいけない。そんなことは書いてないし、そう読み取ってもいけない。リスクはコントロールしなければならず、またコントロールできるのはリスクだけなのだ。