負け組アーキテクトの憂鬱

メモしておきたいことや読書の記録を淡々と書く。

[読書]プレステ3はなぜ失敗したのか?4

プレステ3はなぜ失敗したのか? (晋遊舎ブラック新書 002)プレステ3はなぜ失敗したのか? (晋遊舎ブラック新書 002)
著者:多根 清史
販売元:晋遊舎
発売日:2007-09-10
おすすめ度:4.0
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やや釣り気味の題名や、帯のアオリに「ゲーム業界騒然の問題作」とあったりするが、中身は常識的な内容だ。

SCEの新卒向け会社説明会に参加した時には、PS2全盛期だった。そこで説明された内容によると、PS2の成功の要因は「タイムウィンドウ」を的確に捉えたことなんだそうだ。

早過ぎてしまうとマーケットがついてこない、遅すぎるとマーケットが飽和している、丁度良いタイミングで製品をリリースしなければいけない、という一見単純な理屈がタイムウィンドウの考え方だが、時間軸を多角的に捕らえ、リリースのタイミングを的確に見極めたことこそがプレステ2の成功の要因であったと分析されていた。

PS3のリリース時にもおそらく、タイムウィンドウの要因になる時間軸は多々あったに違いない。

  • 据え置きゲーム機の世代交代
  • 次世代DVDの市場投入
  • モノの調達
  • ゲームの在り方の変化
  • リビングのコンピュータのあるライフスタイル
  • などなど

本書では最近のソニーの見切り発車体質を指摘している。しかし、これらの多くの時間軸が絡み合う中でのタイムウィンドウの見極めは困難だったに違いない。結果として、現在に見切り発車だったという評価が残ってしまった。

決してPS2の時からタイムウィンドウへの嗅覚が無くなってしまった訳では無いだろう。爆発的に普及したゲームコンソールの後継機という戦略上、考慮すべき時間軸が増えすぎてしまったという前世代の勝者故の悩みも「失敗」の原因の一つだろう。

任天堂のWiiやDSは、性能よりもゲーム機の新しい遊び方を提案し、ゲームに興味の無い層を取り込んだ事が成功の理由なのは明白だ。 グループ企業の期待を背負って高性能な従来型ゲーム機としての手堅い進歩を目指してしまった事が、結果的にタイムウィンドウを複雑化させてしまい、「新しい遊び方の提案」という付け入る隙を許してしまったのだろう。

[読書]パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本4

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
著者:海部 美知
販売元:アスキー
発売日:2008-03-10
おすすめ度:4.5
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日本が住みやすいが故に世界から孤立してしまう「パラダイス鎖国」現象について、背景の論考と日本人個人が何を成すべきかの提言。

いわゆるIT革命(のうち、主に格安ネット環境、格安パソコンの普及)によって、発展途上国の人々にも情報を手に入れ、学ぶ機会がより簡単に手に入れる環境が整ってきた。住みやすい経済大国で暮らす日本人は、革命が起きれば、間違いなく滅ぼされる側の立場にあるだろう。その日は確実に迫っているのだ。

日本は鎖国状態から開国し、国際的な競争力を身につける必要がある。日本人はグローバル化しなければいけない。個人としての戦略をどのようにとるべきか、「プチ変人」「厳しいぬるま湯」「内なる黒船」といったユニークなキーワードで説明する。

多様性を受け入れることで日本は変わる。まずは一人の日本人として、外の世界の多様性を受け入れる。自らがプチ変人となり、また他のプチ変人を認めることで、革命の波が押し寄せても滅ぼされないだけの人間、組織でありたい。

[読書]友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル4

友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書)友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書)
著者:土井 隆義
販売元:筑摩書房
発売日:2008-03
おすすめ度:4.0
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若者の人間関係をテーマに扱っているが、三十代の男が読んでも自分のこととして受け取れる内容だ。誰にでも、人間関係での閉塞感は多かれ少なかれ何かしら身に覚えがあるだろう。

率直に、自分は空気が読めない子だったし、今はそのまま空気が読めない大人である。「優しい関係」に疲れ、嫌悪している点では引きこもり少年や自殺志願者と同じなのかもしれない。

協調を強いられる度に怒りや反発を覚える自分は、もはや古い価値観の人間なのだろうか。

先天的な自分らしさなど形骸で、生きづらい世の中で試行錯誤する中で徐々に自分らしさを見いだすことが出来る。悩める若者達もいずれそんな風なことに気づく瞬間が来ると楽観視しているのだが、そんな考え自体が時代遅れなのかもしれない。

10年後や20年後の社会はどうなっているのだろう。その時の若者達はどんな形でこの閉塞感を打ち破ろうとするのだろう。

[読書]あたらしい戦略の教科書4

あたらしい戦略の教科書あたらしい戦略の教科書
著者:酒井 穣
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2008-07-15
おすすめ度:4.5
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数ある「戦略本」とは、現場視点で書かれていることが違うと言う。「戦略本」はこれが初めての一冊なので、正直まだ他の本との比較はできないが、なるほど、明日から使えそうなノウハウが詰まっている。

まずは戦略の定義の分かりやすい解説から始まり、情報収集の手段や将来の予測法(目標の立て方)、実現のための戦略立案の方法と円滑な戦略遂行まで、戦略の背景が明確に言語化されていて、仕事以外にも広く当てはめることができる。

特に戦略実行のノウハウは勉強になった。戦略実行とは組織の動かし方に他ならない。自分以外の人間の動かし方と言っていい。自分自身は簡単に動くことはできても、人を動かすことや変えることはいかに難しいか。納得したのは組織内での「情熱の伝染」が有効だということだ。もちろんコミュニケーションやプレゼン手法など、効果的に他人を説得できる材料も必要だ。だが、最終的に人を動かすのは情熱の度合いだろう。自分が動く理由も、他人を動かす手段も、原点は同じなのだ。

ここ最近の読書感想文エントリについて

新たに読んだ本と共に、もともとmixiのレビュー機能に記載していた内容も順次引っ越してます。

さすがにまあ自分が過去に書いた文章は稚拙なもんで、少々手直ししつつ当時の雰囲気を大事にしながら!やってます。

そのうちめんどくさくなって全部コピペするか、そもそも全部引っ越す必要もないので、飽きて止めるかすると思いますが、しばらくは過去の本と最近読んだ本が混じってます。

というわけで、mixiでレビューを読んでくださっていた皆様へのご連絡でした。

[読書]はじめての課長の教科書5

はじめての課長の教科書はじめての課長の教科書
著者:酒井穣
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2008-02-13
おすすめ度:4.0
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経営者向けでも従業員向けでもない、「はじめての」中間管理職向けビジネス書。

自分が中間管理職という役職に就く上での恐怖、あえて言えば嫌悪感といったモヤモヤした不安の正体が見事に言語化されていた。そしてそれをポジティブに捉えるためのヒントも。

課長の定義から、課長の基本スキル、課長が直面する問題、課長のキャリア戦略まで。部下を持ち管理する立場がいかに難しいのかを思い知る。

一方で、その難しい仕事に向かい合うだけのノウハウもギッシリ詰まっている。課長は、経営者や係長以下の従業員とは全く違った組織への貢献をしなければならない。人間性といったウェットな部分を仕事の場に持ち込まなければ課長としての達成はあり得ない。人間的に魅力ある存在を目指す事が仕事の成果に繋がる、というロジックが示されている。

課長という役職に就かずとも、仕事をする上では必ずどこかで組織に関わり人に関わら無ければならない。そんな状況を乗り切っていく方法論の教科書でもあるだろう。

[読書]クラウド化する世界4

クラウド化する世界クラウド化する世界
著者:ニコラス・G・カー
販売元:翔泳社
発売日:2008-10-10
おすすめ度:4.5
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数々のインターネット関連の書籍ではあまり言及されることの無い、今後のネット社会のリスクや負の部分も明確に言及する。

前半は情報と電力の共通点を切り口に、エジソンの時代に発電所が世の中をどう変えたか、これからのクラウドコンピューティングは発電所と何が同じで何が違うのかをまとめている。後半は今後の世の中は具体的にどう変わっていくかについて論じられる。

テクノロジー自体には善も悪もない。しかし、テクノロジーを使った結果は善にも悪にもなり得る。人間がテクノロジーを追究するのは半ば宿命付けられているのだとすれば、一体どのようなスタンスでテクノロジーと向き合えば良いのか。

リスクを理解しネットと向き合う。良いことはたくさんあるけど、そればっかりではないという当たり前の事をきちんと認識し、社会に貢献するエンジニアでありたい。

[読書]末期ガンになったIT社長からの手紙4

末期ガンになったIT社長からの手紙末期ガンになったIT社長からの手紙
著者:藤田 憲一
販売元:幻冬舎
発売日:2006-06-09
おすすめ度:4.5
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余命宣告されたら、いったい自分はどうするだろうか。考えることはあっても、実際のところ全く見当がつかない。

その答えが「事業計画書」というのだから、いかにもIT社長らしい。当時彼がメディアに露出していたのもすべて、事業計画に則った行動だったとは!

余命宣告されなくても、自らの「人生の総仕上げ」とはどうあるべきか、どうすべきをか考えること。これこそが人生を毎日を、楽しく意義深く送るコツなのかもしれない。当たり前の事なのかもしれないが、改めて気づかされた。

ご冥福をお祈りします。