思考の補助線 (ちくま新書)思考の補助線 (ちくま新書)
著者:茂木 健一郎
販売元:筑摩書房
発売日:2008-02
おすすめ度:4.0
クチコミを見る

考えるとはどういうことか。

一見異なる概念の間に何らかの因果関係を見つける。考える事で世界の見え方が変わる。一本の補助線で異なって見えていた図形の見え方が変わる。ニュートンは月とリンゴの間に万有引力という補助線を引いた。本書は、物質と心の間に補助線を引かんとする著者の「考える快楽」の表現だ。

世界に溢れる叡智は、到底一人の人間が引き受けられるものではない。ある分野を極めようとするだけでも一生を賭けて足りるか分からない。世界全体を理解しようなどという試みは必ず敗れ去る運命にある。

それでも世界を構成する概念の間に補助線を引き続けるにはどうすれば良いのか。本書から読み取るべきはその方法だろう。考える事をあきらめず、知ることをあきらめず、すべてを知ることなど出来ない事を理解してなお考え続けるための、鮮やかな補助線を引くという実践を基にしたレクチャーなのだ。

自らの知的強度の弱まりを省みて、再び知的快楽を追う。心から勇気づけられる内容だ。