ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
著者:梅田 望夫
販売元:筑摩書房
発売日:2006-02-07
おすすめ度:4.5
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必ず読め、と言っている一冊。

オープンソースやロングテール、集合知や総表現社会、学習の高速道路理論や「あちら側」「こちら側」の概念の提示など、現在のネット社会の基礎になる部分を提示した功績が何よりも大きい。この本を知ったきっかけは友人からの口コミだったが、しばらく活字離れしていた自分を読書の世界に引きずり込んだ思い出深い一冊でもある。当時には「そんなことは既に知っていた」「真新しい概念は何もない」といった書評も少なからず見られたが、筋の通った批評であればともかく、実際に社会に影響を与えていない人間がこの本の内容に何を書いても惨めに見えるだけの影響力があった。

一貫して背景にあるのは「ネットの善の側に賭ける」という意志だ。元々、利用者の善意を前提としたシステムであるインターネットは今、構造的なセキュリティの問題に悩まされている。それでもなお人々の善性を信じることを説くことは大きなエネルギーを費やしただろう。

そして出版から数年後、梅田さんが「日本のwebは残念」と発言し、物議を醸したのは記憶に新しい。

正直言ってこの発言には、身の回りの人間も含めてショックが大きかった。冒頭の通り「必ず読め」と多くの仲間に勧めているのだが、何度もこの「日本のwebは残念」の真意について話し合った。梅田望夫というロールモデルは少なくとも我々の目標であったはずだ。自分の考え方に大きな影響を与えてくれたその人の「残念」発言は想像以上に大きい絶望感になってしまっていた。

では、日本のwebを残念たらしめてしまった我々はどうすべきだろうか。まずは何より、我々に善の側に賭けることを教えてくれた人に残念と言わせてしまったことを恥じなければならない。そして日本のwebが「残念ではあったが手遅れではなかった」ことを、近い将来に結果を持って示すことが必要なのだ。