負け組アーキテクトの憂鬱

メモしておきたいことや読書の記録を淡々と書く。

2010年01月

[読書]闘うプログラマー[新装版] ビル・ゲイツの野望を担った男達5

闘うプログラマー[新装版] ビル・ゲイツの野望を担った男達闘うプログラマー[新装版] ビル・ゲイツの野望を担った男達
著者:G・パスカル・ザカリー
販売元:日経BP社
発売日:2009-07-15
おすすめ度:4.5
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昔、下北沢でバイトしていた頃に確か当時の職場で見かけた本。おそらくWindows7発売に併せて再版されたんだと思う。

当時MS-DOSやOS/2を開発していたMicrosoftの次世代OSである、NT(Windows NT)の開発ドキュメント。デビット・カトラーを中心とした開発チームのドラマだ。

カトラーは今でも現役プログラマらしい。NT5.1ことWindows xpやNT6.0ことWindows Vistaのx64版には多大な貢献をしたというし、Windows Azureのスタッフ一覧にも名前があるという。本当に頭の下がる思いだ。また、目ざすべき人物なのは間違いない。

登場人物である開発者たちは狂信的に仕事をする。私生活を擲ってまでNTの開発に没頭する様子は、現代風の表現にすれば間違いなく「ブラック」だ(無論、後の大成功はあるわけだが)。そんなブラックな内容から、我々現代のエンジニアが学び取るべきことは何だろうか。劣悪な就労環境や、家庭を省みない態度への正当化ではない。一つは非凡への志向だろう。

第一章の最後にこんな言葉がある。「平凡は弱者のためにある」。これこそ本書全体に漂う狂気の原動力だ。そう信じなければいられないという、NT開発者のなんとも切ない想いだ。平凡である事を否定し、強者であり続けようとすること。もはや本能の領域の話である。誰もが持つ闘争本能を呼び起こすからこそ、邦題は「闘うプログラマー」なのだ。

思考が守りに入りそうな時に改めて読みたい一冊。

[読書]不完全性定理―数学的体系のあゆみ4

不完全性定理―数学的体系のあゆみ (ちくま学芸文庫)不完全性定理―数学的体系のあゆみ (ちくま学芸文庫)
著者:野崎 昭弘
販売元:筑摩書房
発売日:2006-05
おすすめ度:4.0
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当たり前の様に考えている数学の世界も、その論理体系の理解を問われるとなんだか有耶無耶になりがちだ。数学という論理そのものを論理で整理する、メタ数学の基本的な考え方から導入し、ゲーテルの不完全性定理をわかりやすく解説する。

正直言って、この不完全性定理をよく理解していなかった。この本のおかげでようやく大枠が理解できたんじゃないかと思う。

論理体系に限らず、メタな認識には独特の視点で物事を眺める能力が必要だ。大所高所からの鳥瞰というやつだ。自明であろう事柄をいかに疑うこと。そこから新しい筋道を見出すこと。ゲーテルは、閃きとパワーの人だ。

当たり前に見える物事に疑いの目を向けることの必要性は、それこそ当たり前のことのように言われている。物事をメタな視点で見る能力も必要だ。大局観を養うことでもあるし、分析能力やモデリング能力にも直結するだろうと思う。

ゲーテルになることは無理でも、彼のような人間がいたという事実を受け止め、志向する事はできる。違った視点で眺めて、徹底的に考え抜くこと。まずはこの辺から真似していきたいものだ。