アイデアのちからアイデアのちから
著者:チップ・ハース
販売元:日経BP社
発売日:2008-11-06
おすすめ度:4.5
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「アイデアの力」という邦題からは、アイデア(着想)の生み出し方の手法を期待してしまうかもしれない。しかし、実際の内容は少し異なる。

生まれたアイデアが、人の「記憶に焼きつく」にはどうすれば良いか、そちらのノウハウ集だ。数々の事例を紹介しながら、アイデアの記憶への焼き付け方の理屈を説いている。要は人に物事を伝える技術、つまり伝える事に特化したコミュニケーション技術の教科書と考えると納得がいく。

内容はと言えば、豊富な実例やコラムに富んで(やや冗長に感じるものの)非常に分かり易くまとまっている。この本そのものが「記憶に焼き付く」テクニックで記載されている証拠だろう。

「伝わらない責任は伝える側にある」とは、よく言われる考え方だ。自分もこの考え方に共感する。物事を伝え、伝わらなかったとき、それを相手の責任にしてしまうことは、安全基地の内側に逃げ込んでしまうことと同じだとすら思う。本書にもあるとおり、伝える工夫はいくらでも出来るからだ。相手の責任に逃げてしまうのではなく、自分の責任で引き受ける。伝える事は自分の責任だ。そういった何事にも通じる基本的なスタンスを養う上でも、理解しておくべき内容だろう。

自分の言ってることが伝わらないと嘆く前に、是非読む価値のある一冊だ。