いのちの食べかた (よりみちパン!セ)いのちの食べかた (よりみちパン!セ)
著者:森 達也
理論社(2004-11-19)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
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子供向けの平易な文章で、なんとも重たい問題を扱った一冊。

その重たい問題とは大きく2つ。パックに入った食肉はどこから来るのかという問題と、日本における食肉文化とは切り離せない部落差別の問題だ。なんとなくわかったつもりになっていないだろうか。

目を覆い耳を塞ぎたくなるような描写が想像されて、出来ることなら知ることを避けて通りたい事実かもしれない。魚の三枚おろしやマグロの解体ショーを見たことはあっても、牛や豚はどうだろうか。おそらく多くの人にとっては、食欲をそそられるような光景にはならないだろう。我々は美味しい肉を食べているにもかかわらず、だ。

そのような生きた牛や豚がパックの食肉に変わるまでのプロセスを淡々と描く。「いただきます」の意味を強く強く意識させられる。

食肉を巡って、部落差別問題にも言及する。直接意識したり経験したことは無くても、日本社会の悪い側面として独特の差別があること(あったこと)は知っておかなければならないだろう。正直言って自分は、どこかに部落差別というコトがあるらしいということはなんとなく知ってはいたが、自分とは全く無関係な出来事だと思っていたし、普段の生活で別段意識することは無かった。それが食肉文化に関わる身近な問題であることすら知らなかった。無知を恥じる思いだ。

著者の伝えたいことは一貫している。現実を知ることから逃げないことだ。知ること、思うこと、考えること、これらを欠かさないこと。

我々には責任がある。食物連鎖の頂点に立つ人間である責任と、日本社会を担う日本人である責任だ。思考停止せずに受け止めなければならない。より良く生きることと責任を果たすことはここで交差する。

読むには躊躇するテーマかもしれないが、是非手にとって読んでもらいたいと思う。